【はじまり】

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―全身が痛い。体のあちこちが唸るような感覚だ。 これでは絶対に立てないだろう、と思いつつもぐっとこらえて手に力を入れたら― 「ん?立てた…」 思わず一人、呟いてしまった。 立てたというよりは、まるでふっと体が浮き上がったような感覚だ。 ふと足元を見た瞬間、俺はとんでもないことに気付いた。 「のわっ!!」 思わず、漫画のような叫び声を発してしまった。 …浮いている。地面から僅かに1センチほどだが、自分の体が浮かんでいるのだ。 そういえば、ここはどこだろう。 今まで何をしていたか、そもそもどうして全身筋肉痛のような状態で倒れていたのか、 いまいち思い出すことが出来ない。 浮いた体で周囲を見渡すと― そこには何も無く、だだっ広い荒地が広がっているだけだった。 記憶している限り、自分の住んでいる街にこんな場所は無い。 不思議なことに、いつの間にやら全身の痛みは薄れつつあった。 しかもどうやら、浮いた体にもかかわらず普通に歩けるらしい。 とにかくここがどこだか分からない上に、このまま留まっていても埒が明かないので、適当な方向に歩き出すことにした。
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