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それでも見下す俺の視線の先には薄ら笑いを浮かべて首を掴んだ手に更に力を加えている獲物
そんなに俺を殺せる事が楽しいか
死なない俺が物理的にどんな惨い事をされても死ねない俺を
手の平で踊らされてるとも知らずに道化師は口角を曲げて俺の首の骨を折った
だらりと力無く垂れ下がる体とは対照的に不気味な俺の笑い声
カタカタ口を鳴らして俺は言った
「残念、ハズレ」
「なに!!」
毎度の如く俺の体は傀儡と入れ代わりほくそ笑む
肩に手を置き振り返り様に殴り倒す
「全く、いつまで自分が何にでも勝てると思い込んでるんだよ」
「くそがっ!」
口の中にある血を吐き捨て飛び掛かる獲物、腕は獣の様な鋭い爪を生やした何かに変わったそれを俺に振るう
生々しい音と噴き出す血飛沫、俺の体を袈裟に切り裂いた獲物は一旦離れていく
此処からでも見えるそいつの顔はどうだと言わんばかりの顔である
態と当たってやったのにな
瞬時に再生を始める肉体は数秒で元に戻し獲物の驚愕した顔に今度は此方がどうだと顔を向けた
「はぁ……面倒だな、意外にタフな奴だ」
「何の事を言ってるかわからないな」
たかだか拳一発程度で俺は相手を倒せると思っちゃいない
俺が言ってるのは邂逅時からずっと出し続けている毒の事さ
かなり吸い込んでる筈だが奴には効かないのか?
「っ!?……か、身体が!」
「なんだ漸くか、お前には毒が効かないのかと思ったぞ」
とか思ってたらやっと体に毒が回って倒れこんだそれ
だが、危機と感じて奴は何処かに逃げた模様
テレポートとは厄介な
こちとら飽きたと言ってるのに無駄な手間を取らせるとか、やれやれ
ガクリと肩と首を落とし嘆息が口から漏れるが上げた顔にはニヤニヤと歪に曲がる口元を見せて音も無く姿を消す
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