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「煩いわねクラエナ!ちょっと調子が悪いだけなんだから!」
彼女アイナ・フォン・ビドラクニエと呼ばれる貴族、魔法はからっきしで爆発すら起きない歴代初の落ちこぼれである
魔力はあるのにどの系統に属する魔法火、水、風、土、雷をどれも行使出来ない為に召喚できるのかとお笑い者なのだ
「ちょっと?いつもの間違いでしょう?」
どっと湧く笑い声、これが恥の上塗り
唯一彼女を笑わないのは本を読んで周りの事に興味を示さない少女セラフィス
「こらこら、そう言わないビドラクニエ君だって魔法の才はきっとある、今はその時じゃないだけさ、それと召喚を始めよう」
皆を静め取り掛かる召喚の儀式、名前を呼ばれた者から各々が考えた詠唱で喚び出す
一部例を挙げるとスライム種のゲルマン、体が人型で足はない体色は無色、主人の属性により色が変わる
聖霊種のコボルト、小柄の人型でゴブリンなんかと同一視される妖精、悪戯が好き
「私と共に世界を見る者、側近となりし者よ!サモン!」
ここでクラエナの番がやってきたらしく彼女は何かを喚び出した
一瞬の煌めきの後に見渡すが召喚された者は居ない、もしや失敗してしまったのかとクラエナの心配を余所に彼女の影が揺れる
「ほぅ、これは聖霊種のホロゴーストだね」
ホロゴースト、影に潜む聖霊で隠密性に優れ暗殺やそういった仕事をする者に好まれやすい
「やったわ!みてセラ!」
「………そう」
喜ぶクラエナに淡白な返事はいつものこと、何故こうも正反対なのに仲が良いのかは不明
そして残るは二人、歴代初の落ちこぼれと平民と言うことで認められない者
この内最初にアイナが召喚を行う様子
「貴女は一体どんな使い魔を喚んでくれるのかしらね?まさか何もでなかったりして」
「煩い気が散るわ!絶対にあんたなんかより凄くて強いの召喚してやるんだから!」
クラエナの煽りに大見栄切って発した言葉、魔法も禄に使えない魔法使いが一体何を出すのか見物だと生徒達は固唾を飲む
「全世界の何処かに居る誰か、強く逞しい者よ!私の下に来なさい!サモン!!」
皆一様に疑問を頭に浮かべて聞く詠唱、次の瞬間にはフラッシュバンの如く閃光を放ち辺りを包み込む
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