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「目がぁ!目がぁぁぁあ!!」
なんて叫びを上げる生徒もいるが他は瞬時に閉じそれを回避しアイナの使い魔となるそれに目を向ける
そこには横たわる青年の姿が、何が起こったかわからないと言った表情であちらこちらに視線を移す
「亜人種?…にしては身体的特徴が何処にもないわね」
最初に声を発したのはクラエナ、真っ黒で何かの紋章の入ったボタンを付けた衣装
耳が尖っているエルフ、動物の能力が備わった獣人、背丈は低いがゴツゴツとした筋肉を持つドワーフ、白翼や翼膜のある黒い羽根を持つ天使か悪魔の類いとも似てない
人間と変わらない青年の種族に誰もが困惑する
「ちょっとあんた!種族は何?亜人種よね?」
「は?何言ってんの?」
漸く召喚主も状況に頭が追い付き横たわる青年に質問を投げ掛けた
しかし何も知らない青年からしたら何の事やらと困惑するばかり
だがそんな返しもこの召喚で見返したかったアイナは苛々を募らせるだけ
「だから!あんたは何の種族なのかって聞いてんのよ!」
「何の種族って俺は人間だ!そっちこそ何なんだこの意味不明な場所は?いきなり視界が暗くなったと思ったら此処にいたんだぞ?」
愕然と空気は振動する歴代初の落ちこぼれが召喚したのは本来あり得ない筈の人間だった
だがそれも束の間、また笑い声が渦巻き流石はアイナと声が飛ぶ
「あははは!まさか人間を使い魔に喚ぶなんて前代未聞よ」
「なっななな……何でなのよぉ!?」
「マジ訳わかんねぇ」
笑う者、嘆く者、困る者、三様の空気がこの場で蠢く
教師でさえこんな事態は初めて、どうすればいいか考えこれが終わった後に学院長に相談しようと決意し後へ続ける
「待ってください!先生もう一度召喚を遣り直させてください!」
「駄目だ、この儀式は神聖な物、遣り直しなど許可出来ません」
「そ、そんなぁ」
召喚は一度きり、人間を召喚したとて例外は無いのだ
うなだれるアイナは嫌々青年の前に方膝を付くと手の甲を差し出す
「仕方ないから貴方で我慢してあげるわ、感謝なさい」
「は?」
未だ整理出来ないのに次はこれ、説明しろと青年は目で訴える
「早く手の甲にキスしなさい!」
「は、はい!」
言われるがまま、成り行きでキスを落とす青年
これで契約は結ばれた
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