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「いたっ!?」
すると青年の手の甲には何かのルーンが刻まれその時の痛みに青年は手を胸に抱えて藻掻く
暫くするとそれも終わり汗が滴れる顔を上げアイナを睨み付けた
「今俺に何をしやがった!」
「何って契約よ、使い魔契約」
「なんだっ──」
「そういうのは後にしてくれ、まだ残っているんだ」
言い争いに発展しそうだと予測したエドワルドは最後の生徒に目を向け二人に言い放つ
アイナは素直に従い青年を引き摺って端に移動させそれを見送ったエドワルドがセラフィスを呼ぶ
今度の野次は平民が何を出す気だと言ったもの、しかし何と言われてもセラフィスは気にしない
「巡れ廻れ循れ、宵闇に輝く月の魔力を加護に受けし者よ」
昨晩の月を眺め何時の日か読んだ本の物語を思い出した
「星の導きと共に剣に誓え、我が道に仇成す者を退ける騎士よ」
全ての災厄を退ける無敵の騎士
そんな存在を求めて願う
「………サモン」
他の生徒とは違う少し長い詠唱、どんな者がでるか興味深々とだが同じ轍を踏まぬ様にいつでも眼は閉じれる構えで待つ
「………きた」
時間差で現れた赤色の魔方陣が地面を焼き焦がす
まだ何も召喚されていないのにこの身を震わせる威圧感が空気をも轟かせ尻餅を付く生徒が続出
一体何が出てくるのか、伝説上に登場した怪物、恐ろしいドラゴンはたまた残忍な悪魔か
魔方陣から立ち上る灼熱の焔が現れた何かを隠し正体がわからない
「召喚に巻き込まれるとは、つくづく俺も不幸だよな」
聞いたことの無い声
火柱の中にいる誰かが発したのだろう、それを近くで感じたセラフィスは一歩近付く
「お前か、俺を此処に喚び出したのは?」
「………そう」
此方は見えていないのにあっちは此方がわかっている、喉が震えて声が出難いのを無理矢理絞りだし何とか返事を返す
「……やれやれ」
火柱は四散し風が吹き荒ぶ、焔の中から現れたのは背が高く紅の衣に身を包み黒い鎧の様な物を着た男性
「え?また人間?」
ついつい声が漏れる友人クラエナの声は皆の耳に広がる
しかし今度は笑わない、否笑えないのだろう
この威圧感の中でそんな事が出来ればそれこそ勇者と呼ばれるに違いない
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