貴族と平民は何かしら面倒である

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使い魔生活1日目の朝を迎えた、それだからと言って何かが変わった訳でも特別何か起こる事も無い ただいつも目にする穏やかな朝が来ただけだ そういや夜中何処かの部屋から断末魔みたいなのが聞こえたが、きっともう一人の人間が理不尽に怒られただけだろうさ 俺は静かな主が寝付くのを待ってから学院の屋根で寝た、今も朝日を浴びて屋根に寝転んでる最中 此処では暖かくなった春の様で夜も丁度いい温度だったよ って言っても俺は覇龍に転生してから寒さや暑さに疎くなってるんだが 「……何処?」 おっと、我が主が俺を探してるみたい、いやはやこの耳も地獄耳だな 屋根と主の部屋まで結構あるのに普通に聞こえる なんて事はなく契約のルーンを通して念話が送られてくる仕組み、流石に離れた距離にいる極小な主の声なんか聞き取れんよ 「よっと、呼んだか我が主」 屋根から飛び降り窓に手を掛け入り込む、今の開いてなかったらぶち破って侵入せにゃならんかったぜ 「時間だから、行く」 既に制服に着替えた主は大きな杖と本を持って部屋を出て行く その後ろを俺は黙って付いて行くしかないんだよね、暇です 寮棟から出て芝生の道を進み始めたところで前から黒髪の女生徒がやってくるのが見えた 主も前の女生徒に顔を向けて足を止めたのを見るに知り合いか友人辺りだろう 「おはようセラ、昨日は変な事されなかった?」 「別に、何もなかった」 会ってまずそれを聞くか、まぁこの小さな主の容姿なら仕方ないとも言えなくもない 寝顔を拝見させてもらったが何時の世も寝顔はふつくしい物さ 「本当に?嘘じゃないでしょうね」 「…本当」 そこまで俺は信用されない顔をしてるかねぇ? 「ま、セラがそこまで言うなら信じてあげるけど、セラを悲しませる様な事をしたら貴方を許さないんだから」 やれやれ、今回は相当嫌われ役の様だぜ俺 心境的には辛い様なからかって遊びたい様な、微妙な感じ 「じゃまた後でねセラ、私用事があるの」 「……そう」 いくらなんでもこの子静か過ぎるんだけど、元からなのかな? 少し気になる、でも無駄に詮索する必要はないか、もし理由があっても話したくなったら勝手に向こうから言ってくる筈だし それに一々聞くのが面倒
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