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「愛美ちゃん、嫌だよぉ……いやぁあああ!!」
病室に飛び込んだ明菜は微笑みながら永遠の眠りに就いている愛美の胸に顔を埋め泣き喚いていた。
「来年、一緒に成人式行こうっていったじゃん!! 一緒に振袖選んだじゃん!!」
どれだけゆすったって愛美は何も答えない。
その微笑はあの時と同じものだった。
幼く、無垢で無邪気。
今までの愛美の闘病を思うと、考えられないくらいに穏やかな表情。
最期に愛美は何を考えていたのだろうか……。
明菜の真っ白な頭にぽつんと浮かんだ小さな疑問。
20歳を迎えた愛美が最期に思い出していたのは、
子供ながらに命がけで戦い抜いた、
小さな小さな、
あの夏の日の鬼ごっこ。
-FIN-
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