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ピッ……ピッ……
愛美の耳に届いたのは無機質な機械音。
愛美は自分が今どこにいるのかわかっていた。
きっと、大嫌いなあの真っ白でなにも面白くない場所なのだろう。
それにしても息が苦しい。
機械音の様子もおかしいようだ。
部屋の外も騒がしい。
「…………」
声が出せない。
もう、足どころかどこにも力が入らない。
目さえも重たい瞼が邪魔して開こうとしてくれなかった。
胸元で光るペンダントを握り締めようとした。
でも……手が動かない。
その時、部屋にたくさんの足音が迫ってきているのを感じた。
追われていたあの日。
友達を守ったあの夏の日。
愛美は小さく微笑む。
「…………また……私が、……おに、だ、ね………………」
ピーーーー!!
「愛美ちゃん!!!」
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