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そういえば、僕が彼と出会ったのも、信号待ちの時だった。
夜の赤信号の明かりがマチを赤く照らしていて、僕は相変わらず有効的な時間の使い方を思い付けずに、“とかげのしっぽが死ぬのはいつか”を考えていた時だった。
「何してるの?」
僕は見知らぬ人に急に話しかけられて警戒したが、正直に答えた。
「何って、信号待ち。」
とかげのしっぽについて考えていた、なんて言わなくてもいいだろう。
「ふーん。別に、渡っちゃえばいいのに。」
そう言って彼は赤信号にもかかわらず、道路を横切る。
彼は、“車がいなければ赤信号は無視して構わない主義”の人だった。
そして僕の予想通り、(これは後で分かることだが)彼は生まれながらの都会人だった。
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