歩行者用交通信号機。

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僕の個人的見解によれば、信号無視をする人は、マチの人に多い。 このマチに来たときは驚いたが、今は人が信号無視をするのにはもう慣れた。 ただ、恥ずかしながら僕は田舎者で、今まで一度も信号無視をしたことがない。 僕がそう言うと、彼は驚いたようだった。 そして少し不機嫌な声で言う。 「それはルール設定が間違ってるよ。信号機がルールじゃない。 渡ったら危ないかどうかくらい自分で判断しないと。 もしも信号機が故障か何かしていて、ずっと赤信号だったらどうするんだい? ずっと待っているのか?」 「そんな場合に出くわしたら、さすがに渡るけどさ。それはあまりないパターンだし。 それに、自分が安全だと思っているだけで、危険に気付いてないこともあるでしょう?」 反論しながら、自分でも正論だ、と思う。 「信号無視よりも怖いことは、たくさんある。」 彼はよく分からない反論の後に、自慢気な顔で言った。 「自慢じゃないが、僕は今まで一度も赤信号を守ったことがないんだ。」 これには僕が驚いた。 赤信号は誰にでも平等なのではなかったか。
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