4人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は、スナフキンさんと同じように、春が過ぎるといなくなった。
彼がいなくなってから、僕は赤信号の秒数を数えるのをやめた。
「幸せは作り物じゃない。」
独り言が寂しく響く。
彼がいなくなって、言葉のキャッチボールの相手はいなくなった。
僕の投げた独り言は、地面にゆっくりと落ちる。
重力よりもゆっくり。
ふと、空を見上げる。
一人になると、いつもの空が遠く感じる。
一人になるって、そういうことだ。
信号は、まだ変わらない。
僕は待ち続ける。
最初のコメントを投稿しよう!