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「……あ、おいしい。すごいなこれ、見かけによらず超おいしい」
「そうですか」
「なにこれ……えー……」
えー……おいしい……。
サイドメニューのニンジンサラダも合わせて、ものの数分で平らげてしまった。
「ごちそうさま、リリィ」
「お粗末様です」
ここで、間の抜けたことにも僕は食事を完食してから気付いた。
「あれ、そういえばリリィはご飯食べないの?」
「エネルギー源はバッテリーからの電力供給で賄っています。炭水化物の摂取は必要ありません」
「ああ……」
そういうことね……。
にしても、よく考えてみれば女の子を脇に立たせて一人で食事ってのも相当変な話だ。
さっきまでは色々なことが起こりすぎて混乱してたからなし崩し的に受け入れてしまったが、どうにかならないものか。
「あのさ、次から一緒にご飯食べない?」
「そのご命令はどういった意図でしょうか?食物からのエネルギー供給は必要ございませんし、食費も二倍かかります」
「いやそりゃ、だって一緒に食べたいじゃん……」
自炊なんだから、コンビニ弁当や外食より安上がりだろうし……。
「……嫌か?」
「いい機会ですので早めに申し上げておきますが、私には物事に対して、したいしたくないといった意思や感情はございません」
「……そうなの?」
「はい。マスターが望むのであれば、どのようなことでもいたします」
「なっ……」
お……女の子から……しかもこんな可愛い娘から「あなたのためなら何でもします」って言われたぞ……?
なんかこれって結構とんでもないことでもなくはなかったりしないでもないんじゃないのか……?
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