メイド・イン・ヘヴン

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メイド・イン・ヘヴン

この物語を語る上で、まず一人の男を仮の語り部に据えなければならない。 名は桜木二十郎(さくらぎ にじゅうろう)。 職業はフリーター。 三十路前だからといって、名前を名乗った後「もうすぐ三十郎だけどね」というジョークで場を少しだけ沸かせることに密かな喜びを抱いているしょうもない男だ。 身も蓋もない言い方をするなら、物語の本筋に何ら関わりのない脇役も脇役。 「通行人」と呼んでも差し障りはないだろう。 では何故仮といえ彼にスポットライトをあてる必要があったのか? というのも彼が、この物語の主人公が知ることのない、物語の始まりの目撃者であるからだ。 時刻は午前10時、仙台市内の商店街に居を置く喫茶店にて物語は幕を開けた。
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