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本棚に追加俺はメイド・イン・ヘヴンを抜け出した。
涙ながらに商店街を駆け抜ける。
格好つけようとか、いいところを見せようという意図がなかったわけじゃないのだ。
その出鼻をあんな形で挫かれた。
まともな感性とプライドを持つ者ならば恥じ入らないわけがなかった。
路肩に停めておいたバルカン900に股がり、イグニッションを回す。
長年連れ添ったVツインエンジンの鼓動が、俺のブロークン・ハートを慰めてくれた。
「うっ……ううっ……」
俺は泣いた。
しかし……あの少女は一体何者だったんだろう?
いきなり全裸で現れ、メイドさんを襲い衣服を奪う。
強盗にしたって普通じゃない。
……まあいいさ、あの女が誰で何が目的だろうと俺に関係なんてありやしないんだ。
そうだ、今日はどこかツーリングにでも行って気分転換しよう。
長く曲がりくねった道を走るのさ、のんびりとね。
そういえばコーヒーのお代を払っていないが、店もあの騒ぎの後わざわざ追及もすまい。
次に行ったときにでも払えばいいかな?
そんなことを思ってメイド喫茶の方を向いたときだった。
先程の全裸の少女が、メイド服を着て立っていた。
ガードレール越しのすぐそこから、カメラのレンズみたいな無機質な瞳がこちらを見据えている。
「あ……えっと……」
メイド服はあかりちゃんから強奪したものらしい。
そのネームプレートが胸にあった。
うろたえる俺に向けて彼女は、ただ一言だけ言った。
「いいバイクですね」

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