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「何だよ、てめぇ…」
「見てんじゃねえよ!」
そこにはグレーのビジネススーツを着た、若い男性が立っていたのだ。
冷静な顔でこちらを見て、手には携帯電話を持ちながら、「今、警察に電話しましたよ。」と言って、靴音を響かせながら歩いてくる。
「は?んな脅しに乗るかよ!」
「脅しかどうかは後にわかります。」
冷静な顔をしているのに、その眼は男たちを凄んでいるようにも見える。
「――っ」
男達は危険を感じ取ったのか、その男性を睨みつけると舌打ちをしながらあたしから離れ、その場から走り去って行った。
解放されたことで一気に力が抜け、壁に寄り掛かりながらヘタヘタと座り込む。
シャツのボタンは千切られ、露わになったブラジャー。
解けて首から垂れ下がるネクタイ。
中途半端に下げかけられたパンツ……
その男性が通らなければ、あたしは今頃あいつらに犯されていたのだろう。
何事も無く済んだ事に安心して、目の前が真っ白になる。
極度の恐怖と緊張の糸が切れ、あたしは見ず知らずの男性の前で、しかも半裸の状態で………
…意識を失ったのだった。
この男性が、何もしないという補償はないと言うのに――……
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