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家出少女を拾ったのは
薄く雑音が耳に入り、次第に大きくなって聞き取れる大きさになると、瞼の裏が白く明るく、眩しくなる。
眩しさに声を唸らせ、枕に顔を埋めた。
ふわっと、ほのかに煙草の香りがする。
いつもと違う感覚に、慌てて起き上がるとゆっくり室内を見渡した。
見覚えの無い、室内。
見覚えのない、黒いサテンのカバーが掛けられた二人掛けソファー。
見覚えの無い、紺色の布団。
見覚えのない、ダークグレーのシンプルなカーテンが大きな窓に掛けられ、きっちり閉められている。
綺麗に片づけられている部屋。
モノトーン色が多く使われている室内は、なんだか優しくて、心が落ち着いた。
ベッドから降りようとした時、自分の着ているシャツが男物であることに気付く。
「え?何で…」
ブカブカの白い長袖シャツ。
両腕の袖は、何故か丁寧に捲り折られていた。
近くのテーブルの上に、薄ピンクのシャツと赤いネクタイが綺麗に折り畳まれて置かれている。
あたしが着ていた制服だ。
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