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史上最悪のBirthday
「最ッッ低の誕生日…」
色とりどりのネオンが輝く繁華街をフラフラと歩きながら、あたしは小さな声で呟いた。
怪しげな看板が立ち並び、人目を気にしないカップルが、イチャつきながら行き交っている。
訳ありそうな人達や、明らか援交だろうと思うツーショット……
酔っ払いのサラリーマンはフラつきながら、通りすがる今時なギャルに声を掛けている。
とても治安が良いとは言えない。
それを横目に見ながら、あたしは大きなため息を一つ吐くと、家路に着こうと足を速めた。
「―――――ねぇ。」
その時、突然後ろから声を掛けられ、虫の居所が悪いあたしは不機嫌顔で振り向く。
「あ~~~可愛いねぇ。」
「……何?」
そこには黒いスーツを着た、中年のデブオヤジが立っていた。
目は虚ろで、頬や鼻が赤くなっている。
スーツやシャツはクタクタのヨレヨレだが、高級そうなビジネスバッグや腕時計を身に付けていた。
脂ぎった顔が気持ち悪い。
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