史上最悪のBirthday

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あたしがドアを開けた事に先に気付いた女性が父に合図を送り、それに同じて父があたしに微笑みかけた。 「お帰り、恋。ちょっとこっちへ来なさい。」 言われるままにあたしがソファーの方へ歩んで行くと、女性が立ち上がり、キッチンへ入って行った。 冷蔵庫を開け、何かを取り出しているようだ。 (―――てゆーか、誰?なんで当たり前の様に、人の家のキッチンに入って行くわけ?) 横目に見ながらそんな事を思い、ソファーの近くまで歩いてきた時、父がリモコンで室内の電気を消した。 「ハッピーバースデー~~トゥーユー~~~♪」 キッチンの方から突然歌声が聴こえ、女性が歌いながら火の点いたロウソクが立てられたケーキを手に掲げて、リビングに戻ってくる。 「お誕生日おめでとう、恋ちゃん。」 そう言ってニッコリ微笑み、ケーキをあたしの前に置いた。 七号サイズはありそうな、大きなホールケーキだ。 チョコクリームがたっぷりで、チョコ細工と苺とフランボワーズが、バランスよく飾られた可愛いケーキ… 火の点いたロウソクは、長いのが真ん中に一本、それを中心に円を描く様に短いのが八本立っていた。
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