第二章 顧問にさせられし教師

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 何の因果か、自ら勤務している学園の生徒にリアルホールのパチスロを遊び方を教えてしまった数学教師、比良也善人さん。  こともあろうに教えた娘の友達と言うのが学園の理事長の娘でもはや教師生活が大ピンチの所まで来ていたが、その後の音沙汰がなかった。  いつも通りに仕事を終えて、今日はどこのホールで洒落込むかを考えていたら、自分を呼ぶ声がした。 「先生~お待ちになって~」  振り向いた先にいたのは、善人さんがうっかりリアルホールの遊び方を教えてしまった五稜満月さんでありました。 「五稜か、今日はそのちっこいのはいないようだな」 「絵瑠さんは部活ですわよ、それよりちょっと付き合っていただけますか?」 「付き合うって、おいおいまたホールじゃないだろうな」 「いいえ、リアルホールは行かないと先生と約束致したではありませんか」 「まあな」  善人さんをどっかに連れ出そうとする満月さん。  少々疑いながらも善人さんは満月さんに連れられることにしました。 「ところで本当にどこいくんだ」 「ええ、学園内ですが一度先生にみて戴きたいと思いまして」  満月さんが、連れてきたのは学園内の特殊な部活が集まると言う特別棟、通称特特別棟である。  そこの一室の前に善人さんは満月さんに尋ねる。 「五稜ここか?」 「ええ、それでは扉を開けますわよ」  満月さんが開けた扉の先には、パチンコやパチスロの実機が並んでいた。 「えっとこの部屋は何かな」 「見ての通りですわよ」 「うん、質問を変えよう、あの実機は何かな」 「全部わたくしの私物ですわ」  部屋に置かれた実機は全て満月さんの私物だという。  満月さんは、これまでの経緯を善人さんに説明し始めた。 「わたくし、リアルホールに行くことはイケナイ事と知りまして、悩みましたわ。打ちたい台があるのに出来ないだなんて」 「そうだな、確かにそれはその通りだな。たが、社会的ルールは守らないとな」 「ええ、ですので先生のある言葉を思い出しましたわ」 「俺の言葉?」 「実機を買った方がいいと」 「うっ」  善人さんは、また自分で余計な事を教えてしまったと手を顔に当てた。 「しかし、実機を買ったとしてもある問題がありました」 「ああ、だいたい察しがつく場所だな」
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