第一章 銀玉と回胴に魅せられし少女

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 人は何かしらハマるモノを持っている。  それは、大人でも子供でも一緒。  この物語の主人公である、五稜満月(ごりょうみつき)にもそれはある。  それは、何かと言うと、高校二年生の彼女には不釣り合いなもの、パチンコパチスロ。  かと言って、彼女がやっているのはギャンブルとは無縁のオンラインゲームで回しているのはシミュレータである。 「さてと、今回のイベントもサクッとクリアしますわよ」  今回も特定台攻略のイベントに参加中であり、満月はどの台で打つかを見定めている。 「そうですわね、この場所にしましょう」  満月はそのオンラインゲームの上位会員なので常に高設定の上位会員専用の島から台を選ぶ事になる。  高設定と言えど台毎に波があるので勝てる勝てないは運次第だが、満月が選ぶ台は必ず当たり、そして続く。 「やっぱり、ここが来ると思いましたわ」  当たる台の場所、満月にはそれがなんとなく感じとれるようで、もはや特殊能力に近いものだろう。 「ふふっ、イベントクリアでレアアバターも大量に手に入りますわよ」  とまあ、今回も早々にイベントをクリアをしてしまうのであった。  だけど、満月にはちょっと前から配信を待っている機種がありそれを待ち望んでいた。 「はぁ、何時になったら導入するのかしら、掲示板にでも書き込んでみますか」  体験版は配信されたのに何時までたっても出ない正式版、そのような事を掲示板に書き込んだら答えが返ってくる。 「そんなに打ちたいのなら実機を打てばいいですか……実機と言うのはお店にあるものですわよね」  色々な情報を掲示板にて仕入れた結果。 「なるほど、とある問題で配信はまだ先、ですがお店の台は自由に打てる、となると行くしかありませんわね。幸い明日はお休みですわ」  お店に行けば、念願の台が打てる、それだけを胸に年齢を気にせずホールに向かう計画を立てるのであった。  翌日、目当ての台があると思われるホール前に着く満月さん。  県内の大手グループ的な店ではなく、昔からあり地元民なら誰でも知っているような店。  時間は開店してから一時間程度な時間帯である。 「オンラインでは色々なお店を渡り歩きましたが、初めてのリアルホールは緊張致しますわね」
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