懊悩する因公宮

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その娘の気を惹こうと宮は、和歌を拵えた。 「器にて 水も従う ことのほか 萎れし花も 再び咲けり」(水とは器に倣い従うもの。萎れてしまった花も器次第できっとまた咲くのでしょう)。 返歌は寂しき内容であった。 「清らかなる 流れ橋から 眺めども 汚れ知らざる 君こそあわれ」(川の流れを橋の上から眺めていても、その汚れには気付くことはありません。そんなあなたこそお可哀想です)。
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