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因公宮、真氏長者小賀家の息女との間に向陽四年秋、十八歳にして長男が誕生した。
立花院、待望の初めての男孫であり、自らの所領である荘園の一部をお与えなさる程の喜びようであった。
その後、年子にて次男が生まれ、向陽七年同腹に長女が誕生した。
これらの王子、女王は小賀家薮柑子邸にて育てられ、因公宮は自らの役割を果たしたつもりであられた。
兄帝に未だ皇子生まれ得ず。
健康状態の件もあり、いつ自分に御鉢が回ってくるとも知れない。
その不安の中、因公宮は小賀家の邸を離れ、立花院より譲り受けた山萩山荘へ籠ったのである。
宮は、孤独の中これらの日々を費やしたのではない。
宮が二十歳になると三品に叙せられ中務卿へ任じられた時は、父先帝の真意を図りかねた。
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