第二章 車窓

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目が覚めた... 東京へと向かう列車の中だった 隣の席の強面の男がこちらを 見ていたが今はそれどころでは なかった 全身汗だくだった。 顔の汗は下へと滴り落ちていた 呼吸も乱れている 平常心を保つよう 自分に言い聞かせる 「大丈夫だ、落ち着け。」 顔の汗を手で拭うと ドリンクホルダーから ペットボトルの水を取り 一気に飲み干した。 少し落ち着くと 駅のホームで、おばあちゃんが 「列車の中で食べなさい。」 と渡してくれた袋が目に留まった 袋を開けてみると おにぎり・お茶・お菓子 それと紙に包まれた物が 入っていた。 その紙を開いてみると 1万円札が2枚入っていた 自然と涙が溢れてくる・・・ 僕は隣の男に見られないように 背を向けて 外の景色を眺めた 車窓からは まだ雪が残る故郷の景色が 広がっているのを 涙でぼやけた目で見ていた。
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