羽球

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─────◇◆◇◆◇───── 「先輩っ!!」 急速に意識が戻った。 目に映るのは、ほんの2~3ヶ月しか経ってないのに、懐かしく感じる母校の体育館。 そして、俺が所属していた男子バドミントン部の練習風景だ。 「先輩、アドバイスお願いします」 「ん、あぁ……まず──」 今日は、高校総体を間近に控えた後輩に差し入れに来ただけだったんだがな……。 つい、現役時代のクセで指導してしまい、長居してしまっている。 アドバイスを終え、後輩が練習へ戻る。 その後ろ姿をボンヤリと眺める。 脳裏に浮かぶのは昨年、つまり俺がまだ現役だった頃。 そして三回戦で敗退したときの苦い記憶。 団体戦、2勝2敗で迎えた最後のシングルス。 粘ったが、負けてしまいコートの中で天井を仰いだ部長の姿を、俺はベンチで呆然と見ていることしかできなかった。
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