羽球

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「あれ? 哲(テツ)も来てたんだ」 背後から掛けられた声に、ビクリと背が震えた。 この声は── 振り返ると、予想した通りの奴がいた。 翔子(ショウコ)、女子バド部のマネージャーをしていた女子だ。 ふわふわと緩いウェーブのかかったロングヘアと、大きな瞳が特徴だ。 「久しぶりだな、お前も来てたのか」 「うん、ちょっと差し入れにね。 もう時間だから帰るけど」 「そうか」 ふと、気付いた。 体育館全体に響く音に、屋根を打つ音が混じっている。 「なあ、雨降ってねぇか?」 「え、ウソっ!?」 窓に駆け寄りカーテンをずらし、外の様子を確認している後ろ姿を見つめる。 やっぱり、どうしても素っ気なく話してしまうな……。
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