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翔子は、学年でも有名だった美少女だった。
もし、学年美少女ランキングがあれば上位3人の1人には絶対になっていただろう。
そして、俺が三年間片想いを抱いていた相手でもある。
機会を見つけては話し掛けていたが、どうしても緊張して素っ気なく話してしまい、結局告白することなく卒業してしまった。
だから、実際に彼女を「翔子」と呼んだことはない。
「うわ、ホントに降ってるし。
どうしよ……」
「歩いて来たのか?」
困ったような声を聞き、つい訊いてしまった。
彼女は振り向き、小さく頷いた。
その表情にはありありとした困惑が窺える。
「……送って……やろうか?」
「え?」
「いや、俺さ、今日車で来てんだよ。
だから……」
言っていて、しまった、と思う。
こんないきなり……
「悪い、やっぱな──」
「良いの?
ならお願い」
「………………え」
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