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「暇」
「は?」「はい?」
リビングの扉を開けてそうそうに眠たげな眼を擦りながら青年が言った
服をきくずしてとてもだらしない様である
「いや、兄さん寝てたの?」
「は?」「あらあら……存在を忘れられてたのね」
休日の昼前
ソファに寝転ぶ中学生くらいの女の子、てか妹と
台所で洗い物をしてる大学生くらいの女性、てか姉が
だらしない青年、てか俺に向かって失礼きわまりないことを言ってくる
「だって兄さん起こしに行っても部屋にいなかったから」
「ああ、そういやそうだったな。でも俺は昨日は紫の部屋で寝たから」
「は!?ホントなのお姉ちゃん!?」
「あらあらまぁ……茜ちゃん安心して」
ホッとツルペ……胸を撫で下ろす茜
「本当だから」
「このクソヤロウ!!!!!」
おおお!リモコンが凄い勢いで飛んできた
しっかりとキャッチし投げ返すと茜の額にクリーンヒット
ざまぁ、とか思っちゃいけない
ええ思いませんともざまぁ
おっと……
「でも空ったらなにもしないもの」
「まぁなー、お前は体調悪そうだったからな」
「いってて……くそ兄めぇ……」
「ははは、敬え妹」
「変態兄様死んじゃえば?」
「いつも通りだな、頭がぶっとんでるな妹」
「はいはい、仲良くね」
洗い物を終えたらしい紫が茜の隣に座る
その手にはコーヒーの注がれたカップが二つ
それを一つ受け取って俺は椅子に座る
紫はカップを両手で包んでふぅふぅとしている
紫は俺の姉であり妹
つまりは双子
なんて設定はないがとにかく同い年
妹は紫の実の妹で実際は俺はよそ者である
よそ者って言っても赤の他人じゃないけど血の繋がりとかは一切無い
ただただ親が知り合いなだっただけ
俺たちの親は事故でいない
しかも親同士が車で追突
紫の親と俺の親は小学校からの付き合いで小中大とずっと一緒だったらしい
それゆえに親しいものどうしの事故には不幸すぎるなと思う
まぁ
過ぎたことだからしかたない
と
こんなこと考えていたら茜が睨んでいるのに気づいた
「なんだ?」
「ホントに手出してないの?」
「ん?ああ」「ヘタレ」
「はぁ!?」
意味がわからない
実の姉が襲われていいわけないだろうに……
「空は優しいから」
「んなわけねぇよ」
「そうそう!ただの変態だよ!」
妹はいつもひどいなぁおい
でも否定できない自分がいることに泣きそうだ
まぁ
ウソだけど
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