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2099年12月31日の夜、夜空はいつになく澄みきっていた。
新年まであとわずかと差し迫った寒空の郊外の丘で塚沢恒一は叔父である塚沢求史と星を眺めていた。
「今日はいつになく綺麗だね、叔父さん」
「そうだね。最近はめっきり見える星も少なくなってきたのに今日だけはよく見えるね。
あっ、恒一君、あれは何か分かるかい?」
求史が砂時計のような形をした星々を指さす。
「やだなー、あれはオリオン座だよ。叔父さんが指してるのはリゲルだね」
恒一は求史にニコニコしながら青白い星を指す。
「あっはっはっ、恒一君には簡単だったかな。それにしても恒一君は本当に星が好きだね」
そんな求史に、うん、と元気よく頷くと恒一は空一面に広がる無数の星々を再び見つめた。
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