3人が本棚に入れています
本棚に追加
求史の家へと連れてこられた恒一はなんとなしにテレビを付けたが、電波が届かないときに見られる黒と白の映像しか映らなかった。
恒一はBS、デジタル全てのチャンネルを試してみたが結果は同じだった。
求史は慌ただしく何が起こったのかと探っていたが、恒一はそんな叔父の様子から何か途方もないことが起きたのだと感じ、ただただ背中を丸め、
テレビの近くの床でうずくまっていた。
その次の日、朝刊でこの異常事態に関する政府の正式発表が為された。
それによると衛星による通信が途絶したこと、そして海外から情報が全く入らず、早急に人員を派遣したとのこと。
そして数日が経つと更なる凶報が届いた。
それは大陸から人が消えたということであった。
新聞には人が消え静まり返ったニューヨーク、ロンドン、モスクワ、ペキンなど、各主要都市の写真が一面に大々的に貼られていた。
大変な事になった、と呟く叔父の求史にまだ幼く、事態を把握しきれない恒一は、何が起こったの、と叔父に聞くことしか出来なかった。
ロスト・ユニバーサル・デイ。
失われた世界の日。恒一が家族を失った日であり、世界が変わった瞬間であった。
最初のコメントを投稿しよう!