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胡蝶蘭の鉢植え。
母の日に贈るであろう花が少女が倒れたその傍らに落ちて割れた。
「ちっ、マズイぜ。引っ掛けちまった」
「誰も見てねえだろ。逃げてもわからねぇよ」
車の急ブレーキの音。
騒ぎに目を開けると青ざめたふたりの男の向こうで、こめかみから血を流して横たわる少女がいた。
「捕まったらやべえよ。無免許だし」
「お、俺は関係ねえからな。運転してたのはおまえだし」
「俺だけが悪いんじゃねえぞ。おまえが酒を飲ませたんじゃねえか」
慌てふためいて醜い言い争いをするふたりに胸くそが悪くなる。
「うるせえぞ!早く連れてけ!!」
頭に来て怒鳴ると、ぎょっとしたように振り向いて悲鳴を上げて逃げ出した。
「……い、てぇ」
龍神会雑魚とのタイマンで後ろからいきなりの奇襲を食らって瞼の脇が切れていた。
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