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【ザザ~】
美しい女性だな……
小顔の中にあるブルーで大きい瞳にショートでブラウンの髪。
年齢は25~30歳ぐらいだろうか。
【ザザ~】
この人は誰だろう?
どこかで見たような……
【ザザ~】
何となく見覚えがある美しい女性は目を瞑り、俺の顔に近付いてくる。
このままじゃお互いの口が触れ合うのも時間の問題だ。
【ザザ~】
っていうか
さっきからザザ~ってうるせえなぁ。
人がいい夢みてるのに。
俺は聞き慣れない音で夢から目が覚めた。
周りを見渡すと、すぐに音の正体は分かったが___
なんだ波の音だったのか……えっ?
ここどこだ?
俺が目を覚ました場所は全く身に覚えが無い場所だったのだ。
さんさんと降り注ぐ太陽。
どこまでも広がっている青い海。
白い砂浜。
後ろには木が生い茂っている。
その木々の間に見える一本の道。
ここはマジでどこだ?日本のどこかか?
俺は何故ここで寝ていたのか?
寝る前の事を思い出そうとするが、全然思い出せない。
それどころか自分の名前、年齢、家、
家族や友達、といった自分に関係する事が何も思い出せない。
海面に写る、幼さが残る自分の顔。
まだ若い。中学生か高校生ぐらいだろうか。
分からない。
何度も見てきたはずなのに。
まいったな…
まさかの記憶喪失ってやつだ。
この状況
普通の人なら凄く不安になるだろう。
でも、俺に不安感はない。
逆に何だかワクワクしてくる。
俺ってポジティブな男だったのか?それともただの能天気か?
っていうか
とりあえず着るものを探すか。
俺はこの時、裸だった。
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