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「次に訳が分からない事を言ったら串刺しになる。」
言い終わったホワイトは槍を構え直す。
「おい!危ないだろ!っていうか、訳が分からないってどういう事だよ!」
「“ニホン,,という所は、この世界に無い。」
相変わらず低い声のホワイト。
無いだと?
何だよそれ?
こいつら日本語を喋るくせに日本を知らないっていうのか?
これは夢か?
俺はまだ夢を見てるのか?
夢なら早く覚めてくれ。
いや…………
今はそんな事を考えている場合じゃない。
まずは怪しい者じゃないと分かってもらわないと。
こいつら危ないからな。
変な事を言ったら本当に殺されそうだ。
俺はこの場の最善な台詞を考えようとした。
しかし、遅かったみたいだ。
ホワイトは「死ね」と言いながら槍を後方にさげて俺を串刺しにする準備に移っていた。
どれだけ短気なんだよ!
「ちょっと待てって!!!」
そんな事を思いながら、とっさに叫んだが時すでに遅し。
槍先は俺の腹まっしぐらに飛んできている。
俺が串刺しになるのは、あとコンマ何秒かだろう。
死ぬ瞬間て人生の走馬灯が見えるっていうけど、俺には記憶が無いからか見えない。
そのかわり
目覚める前に夢で見た美しい女性が頭に浮かんだ。
と、その時ある疑問が頭に浮かぶ。
その疑問とはなかなか自分の体に槍が刺さらない事だ。
変だなと思った俺は槍先を見た。
さっきは全然見えなかった槍先が今はよく見える。
いや違う。
スローモーションで見えている。
槍だけではない。視界に見える全てのものがスローモーションに見えた。
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