知らない場所

8/11
前へ
/39ページ
次へ
二人を倒す為に拳に力を込める。 その時、自分の身体がスローモーションになる前とは違う事に気付いた。 体の奥底から力が湧いてくる感覚。この感覚はどんどん膨らんでくる。 今なら岩でさえ拳で砕けるんじゃないかと思えるぐらいに。 これならコイツらを楽勝で倒せる。 ほぼ同時にゆっくりと向かってくる槍先と剣先。 まずは、左側にいるホワイトっていう大男からいくか。 俺は二人の攻撃を左側へ避けた。 槍先は右頬を剣先は右の横腹をかすめていく。 すぐさま構え直す為、伸びきった腕を戻そうとする二人。 通常の時間の進み方なら、一瞬の出来事だろう。 だが今の俺には十分な時間があった。 俺は力を込めた拳をホワイトのボディへ放つ。 鎧ごと、のめり込んでいく拳。 ホワイトは槍を落とし、苦痛な表情へと変わっていく。 俺はゆっくりと、のめり込んだ拳を引いていった。 拳に吸い付く様に前のめりになっていくホワイト。 よく格闘技なんかで手応えはあったなんて言葉を聞くけど、まさに今がそれだ。 決まった…としか言いようがない一撃。 ホワイトはそのままうつ伏せに倒れてしまった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加