プロローグ…

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姿無き声の正体は憑依型のエイリアン… 人類がまだ稚拙だった頃、地球に飛来し…その能力の高さ故に神と崇められた種族。 呟きの正体は、その内の一人。かの有名な神様…弁財天様である。 語れば長くなるのだが、ある事情に因って俺の身体に憑依し…そのまま一心同体中なのだ。 「そー言わないで下さいよ…」脳内のボヤキに対してポツリと溢した俺だ。 それがマズかった…その呟きをシルフィの耳が拾った途端… 「功太さんたらっ!聞いてますですのっ!?またサラ様と内緒話なんかなさって!」と…先程迄の夢見る妖精は何処へやらな勢いである。 因みにサラとは、弁天様の旧名サラスヴァティーの頭を採った呼び名なのだ。 「アハハ~!功太ぁ!お姉さまが、またいつもの始まった~」タレイアのお気楽な笑い声と同時にアレが来た。 俺が俺でなくなって行く感覚…風景が突然ズームアウトした様に遠ざかり、聴覚は水中で音を聴かされている様に鈍くなる。 弁天様の能力…顕現化だ。 と…元々俺が立っていた位置には褐色の肌をした女性が艶やかな黒髪を腰元まで垂らして立っていた。 弁天様が《表》になった姿である。 彼女は時間的な制約こそ有るものの自由に入れ替わる事が出来るのだ。 そうなると俺は意識だけの存在となり、暗闇の内で傍観者とさせられる。 代りと言っては何だが…流石の神様、顕現化している間はほぼ無敵…全身を消し炭にされても死ぬ事はないのだ。 表に出た弁天様は左手を腰に当て右腕は自然に垂らすと、モデルの様にポーズを決めた。 端から見ればその姿はインドの美人女優を想わせるだろう。 暫くして…少しアゴを上げるとカノー姉妹を指差して見下す様に口を開いた。 「ふん!これで内緒話などではなくなるぞ。私は、神社仏閣巡りを要求するぞ!」わざわざ顕現化し…何を言い出すかと思えば… そーゆー事かっ!? 何だかんだ貴女も楽しみだったのねっ!? こうなれば種族は違えど女子三人…ピーチクパーチク始まり…それと共に俺の騒がしい休日も始まるのだった…
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