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現れたのは、作戦室の無駄に広い空間を埋め尽くす圧倒的存在感の岩壁…
そこには二ヶ所、洞窟がぽっかりと口を開けており、それぞれ《男》《女》と書かれた暖簾が掛けられている。
えいほ施設の一つ…シャワー室と名付けられた大温泉浴場である。
この作戦室、実は…あの世と繋がっており、様々な施設やら建物…更には戦闘機までが、その亜空間に収納されているのだ。
と、不意に現れたシャワー室の暖簾を掻き分け…出て来た人物が二人。
一人はテカテカと肌の黒光りするマッチョマン。
その身体は見事に鍛え抜かれ…筋肉以外の肉が一片もない程である。
その肉体美は、まるで古代ローマの彫像の如くだが…腰に巻かれたドラ〇もん柄のタオルが残念でならない…
もう一人は…よいよいの爺さんである。
風呂上がりにも関わらず、サッパリとした清潔感は全く醸し出していない所が残念だ。
二人組は俺達を見るや否や…
「おはようさんじゃのぉ…」と爺さんが口火を切り、テカテカと黒光りするマッチョは…
「おっ!冴木君じゃないっ!」ニカッと笑いつつ、岩をも砕く様な爆声を発した。
肌とのコントラストでニッカリ笑顔から覗く歯が光を放っているが如く眩しい。
色黒マッチョ…言わずと知れた当機構の所長、嘉山イワオ…
そして爺さんは渉外担当の成澤権蔵である。
にしても休日のこの時間、えいほに所長が居るとは…
遠出に気を取られ油断していた俺だ…
休みだろうと何だろうと好き好きに集まる彼等の習性を失念していたのである…
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