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彼等を見た途端、思わず苦味走った表情を浮かべてしまった。何故ならば…休日に彼等と会ってロクな目に遭った事がないのである。
前巻では…いや、愚痴は辞めておこう。
「ふぅ…」俺は一つ息を漏らすと気を取り直す。今日はこれから色々と忙しいのだ。
と、俺の心中など知る由もないテカテカマッチョは…
「ややっ!?浮かない顔してどしたの冴木君っ?お茶でもしながら私が話しを聞こうじゃないかっ!」等と、のたまわったのだ…
じょろじょろ~っ!急須から湯呑みへと熱いお茶が注がれる。何の流れか…お茶タイムだ。
「いいじゃないっ!姉妹と社会見学。彼女達も人間社会を学ばなきゃねっ!」ニカッと決め顔を作りつつビシッと右手の親指を立てた所長である。
虫歯一つない白い歯が黒肌とのコントラストでまばゆい光りを放っている様だが、何故か今だにドラ〇もんタオル一丁…
「うむ。そうやって人間社会を学ぶ事じゃな…ワシがえいほに来た当時を思い出すわぃ」腕組しながら大袈裟に頷くのは一応、服こそ着たもののホームレス風味が増しただけの権爺だ。
と、のんびり空気が場を支配しかけた所ではあるが…
不意にシャワー室がフッと消え去り、瞬間後にはズルリと何かが出現した!?
オイオイ…
何時になったら出掛けられんのよ…
緩やかに立ち込め始める暗雲に軽い眩暈を覚える俺だった…
現れたのは山小屋風の建物、通称である。
そして、そこから出て来た人物はデッキをツカツカと下りながら声を上げた…
「何や皆ぁ~!お揃いでナニしとんねん?」癖のあるセミロングを掻き上げつつ赤いフレームの眼鏡を光らせるのは…云わずと知れた京ちゃんである。
浜田京子…科学技術開発を一手に担う、えいほの要。
エイリアンから供与される未知の科学技術が彼女の手に掛かれば応用され転用され運用され悪用され…
その成果として人類の知り得る理論など遠く及ばない秀逸な物となって生まれ代わるのだが…彼女の天災的な性格に因って無茶な試用を強いられ暴走したりもするのだ。
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