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その時だ、私の中で何かがうごめき始めた。
凄く不気味な…何か。
しかし、その時の私にはそれが何なのかどうでも良い状態だった。
気にする余裕など、全く無かったのだ。
『悔しい。憎い…私の前から消えてよ。居なくなってよ』
制服に付いたご飯つぶを取りながら、心の中で何度も呟く。
『皆んな大嫌い。憎い…憎い憎い憎い!』
笑い飽きた加奈子達、勢いが付いたのか今までよりも大きな声と強い力で、私の中のそれに、トドメをさした。
「まだ綺麗になってないじゃ~ん。拭きなよ~ほら~」
そう言い、やっと立ち上がった私の身体を四人で押さえ付け…再びご飯つぶの中へと押し倒し、落ちたご飯に擦りつけようとする。
「ほら~ほら~こうやって掃除したら早いんだよっ」
私は、必死に抵抗した。
手を払いのけ頭を振り足をバタつかせて。
でも、勢いづいた四人の力には、とうてい敵わなかった。
敵わない四つの力と必死に戦う私。
床にこすりつけられている頬が、激しく痛む。
静かな教室に、いちだんと高い四人の笑い声が響き渡った。
その時だ。
私の中の黒いモヤが急激に膨らんで行き、私の感情を全て飲み込み始めたのだ。
惨めさ、悔しさや…悲しみ、そして憎しみ…その全ての感情を、物凄いスピードで飲み込んでいく。
その表現が正しいのかどうかは解らないが、私にはそう感じたのだ。
そのモヤが膨らむ度に、私の気持ちが軽くなっていく。
どんどん膨らむ黒いモヤ、どんどん軽くなる私の心。
そして…次の瞬間、私は、意識を無くした。
何の感情も無い、真っ白な世界に落ちて行ったのだ。
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