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目を覚ますと、私はオレンジ色の世界に居た。 天井もカーテンも、全てがオレンジ色に染まっている。 「ここ…何処?」 私は、そのまま頭だけを動かし周りを確認した。 右側には、パイプベッドが二つ、左を見れば視界を遮る黄色いカーテン。 「保健室?」 その時鼻から入ってきた消毒液の臭いが、私の独り言の返事になった。 部屋全体を彩るオレンジの色は窓から入る夕日の色、それはあまりにも鮮やかな色で、私はしばらくベッドに横たわったままそのオレンジ色の光に見とれていた。 『ちょっと待って!何故…何故私は保健室に寝てる?』 小さな疑問が、私をオレンジ色の幻想的な世界から引きずり出す。 「何で?」 未だスッキリとしない脳をフル回転させ記憶を探す。 加奈子達にお弁当を駄目にさせられ…そうだ…床に顔を押し付けられて…その後…その後は… 「目が覚めたのね。気分はどう?」 「ヒャッ」 急に聞こえたその声に驚き、私は小さな悲鳴をあげた。 「ごめん、驚かせちゃったわね」 そう言いながら姿を見せたのは、保健室の川谷先生。 「あっ、あの…私、何でここに…」 オドオドと話す私の言葉に、川谷先生は優しく微笑みながら答えてくれた。 「お弁当を食べてる時に急に倒れたって、同じククラスの子達が、此処に運んできてくれたのよ」 「クラスの人達が?」 「そうよ~。クラス全員で来て、事細かにその時の状況を話してくれたから、救急車を呼ぶ必要無いと判断できて良かったわぁ」 「事細かに?あの…何て言ってたんですか?」 「お弁当を食べてる時、うつ伏せになって辛そうにしていたから声を掛けたら、生理だからって言ってそのまま倒れたんですって…覚えて無い?」 「えっ生理?私が?」 「そうよ。覚えて無いの?クラスの子達が皆同じ事言ってたわよ」 『私が生理?』 違う…今私は生理なんかじゃないし、それに…状況がまるで違う。 その時、私は気付いた。 こうやって虐めは隠され、揉み消されて行くのだと。
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