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クラスの中には、誰1人として私の味方になってくれる人が居ない。 そんな現実を見せ付けられ、今までに無い孤独感が私を襲う。 そんな私の心など、知りもしない先生は、あり得ない一言を私にぶつけてきた。 「2年1組は、良いクラスね」 「えっ?」 私は耳を疑った。 良いクラス?全員で、たった1人を甚振れる人の揃ったクラスが、良いクラス? 何を言ってるのだろうか、この人は。 あのクラスが良いクラスですって? 「フッ…フフフフ」 悔しさや寂しさを通り越し、私は可笑しくてたまらなくなった。 「ハハハハハッ…アーハッハッハッハッ」 急に笑い出した私を見て、キョトンとした顔をして私を見る先生。 「あー可笑しい…ハハハハハッ…アーハッハッハッハッ」 私の大きな笑い声が、静かな保健室に響き渡る。 「せっ先生…笑わせないで下さい」 「いや、私はそんなつもりじゃ…」 そうだ、この人は知らないんだ。 あのクラスで、陰湿な虐めが発生している事を。 クラス全員で、たった1人をいたぶり陥れ、苦しめていると言う事を。 少なくとも、担任の小坂先生は知っている。 見ないフリ…知らないフリはしているけれど、確実に何かが起こっている事は解っている。 何故なら、以前授業中に、切られ落書きされた酷い状態の教科書を見られたからだ。 それだけでは無い。 鞄の底を切られ、持ち上げたと同時に中身をばら撒いた現場まで見ていた。 上靴を捨てられ、真冬に一日中裸足だった事も…気付いていた。 それなのに、小坂先生は誰にもその事を伝えもせず、問題視もしていない。 そう…小坂先生の中でも、私は″居てはいけない存在″なのだ。 クラス全員から嫌われ、ストレスの捌け口にされている私… 担任の先生からも、煙たがられる存在の私… 私は…何? 私は…何者? 孤独、惨めさ、悔しさ 複雑な思いが私の内臓に絡みつき、そして一気に締め上げる。 空っぽの胃が、それに耐え切れず吐き気を誘発し、酸っぱい胃液が喉まで上る。 「駄目…限界」 そう言い捨てながら、私は裸足のままトイレ目掛けて走り出して行った。
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