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20畳の洋間、中央には花の形をした白色のセンターラグと白く丸いテーブル。 窓際には白色のベッド。 白いシーツには、大きな白い花の刺繍が施されている。 勉強机も白、本棚も白。 その全てが白い部屋の片隅に、膝を抱えて座ったまま身うごきひとつしない少女が居た。 黒く綺麗な髪と色白の肌、瞬きさえしなければ本物の人形の様な少女だ。 少女の名前は、 島吉菜子(しまよし なこ) 某有名私立高校の二年生 父は弁護士、母は医師 多忙の為家にいる事が少ない両親に変わって、家事一切をやってくれている家政婦の和子も居る。 お金の苦労や、先の不安など一切無い裕福な家庭の中で育ってきた。 そんな菜子が、自分の部屋の片隅で小さくうずくまり、生気の無い目で空を見つめて動かない。 一体この、美しい少女に何があったのか… 話しは、三ヶ月前に遡る
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