―Ⅰ―

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「学校は楽しい?」 不自然にならないように視線を逸らしながら、紙皿におかずを取り分ける。 「楽しいよ。 たかちゃんと同じクラスになれたし」 たかちゃんとは、遙の小学校からの友人だ。 甘い卵焼きとからあげに、ほうれん草のおひたしを盛り付けて遙に渡す。 「あ、あとね、私のクラスはアイドルが多いの」 「アイドル?」 遙は食べかけの梅の入ったおにぎりを両手で持ち、こくこくと頷く。 「輝くんもアイドルだったでしょ? 学年とか学校中でものすごくモテる子のことだよ。ファンクラブまであったりするの」 「ファンクラブねぇ」 僕は言い、自分が冷やかな気持ちになっていることに気づく。
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