―Ⅰ―

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「とぼけったって知ってるよー。 社会の先生に聴いたもん」 僕の母校に、遙も通っている。 遙はおにぎりをまた一口頬張り、もぐもぐしながら指に付いたご飯粒を舐めとった。 その仕草に、一瞬目を奪われる。 そんな仕草を無意識でやってるなんて恐ろしいことだ。 「まぁ、僕がアイドルだったかどうかは置いといて、遙ちゃんはそのアイドルな男の子たちが同じクラスだと嬉しいの?」 みっともない嫉妬心が顔に出ていませんように、と思いながら訊いた。 「んー」 遙は考えるように視線を斜めうえに向け、顔を傾けながら咀嚼していたおにぎりをごくりと飲み込むと、今度はおひたしを口に入れる。 「このおひたし美味しいねぇ。 あ、しらすが入ってるんだねぇ」 遙はしゃくしゃくとおひたしを咀嚼して、そんなことを言った。 話題がずれている。 僕は焦る気持ちを抑えるように深呼吸をする。
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