―Ⅰ―

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「輝くんっ、見て!」 背の低い色白の華奢な女の子が、僕の数歩前を小走りに進み、指をさす。 桜の花びらがひらひらと舞い、視界を薄いピンク色で染めた。 「すごいっ、すごいねっ」 彼女は振り返り、舞い踊る桜の花びらと僕とを交互に見ながら、顔に満面の笑みを浮かべる。 「遙ちゃん、そんなに走るとまた転ぶよ」 僕は言い、喜ぶ彼女の後姿を見守るようにみつめる。 ――いつからだろう。 いつから僕は、彼女のことをこんな風に想うようになったのだろう。 そんなことを考えながら、彼女のちいさい背中を僕はみつめている。
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