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時が経つのは早い。
僕を欲情させた十二歳の少女は、あっという間に十四歳になった。
遙はどんどん可愛くなる。
どんどん可愛くなって綺麗になって、そして大人になろうとしている。
青いシャカシャカと音のするビニールシートのうえに二人ですわり、弁当を広げた。
鮭とかおかかとか梅とかが入ったおにぎりと、遙がリクエストしたおかずが並ぶ。
「おいしぃー」
もぐもぐと、ちいさな頬を力一杯膨らませて幸せそうに遙が言った。
たったそれだけで、僕はたちまち、幸福に満たされてしまう。
「ふ。
ほっぺにご飯つぶついてるよ」
そう言ってご飯粒をとってやり、とったご飯粒を僕は口に入れる。
――あ、やばい。
そう思ったときにはもう、ご飯粒は口の中に入っていて、慌てて遙の反応を見る。
遙はふにゃり、と笑い無垢な瞳で僕をみつめる。
胸がしめつけられたような、そんな気がして、缶のお茶をがぶがぶと飲んだ。
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