-Rose3 橙と金髪の男-

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14  岩壁を抜け出ようとした所で、日陰に誰か座っている。  小さな露店商だ。大きな荷物を置いて、数品を前に広げて、座っている。  一行が前を通ると、話掛けてきた。振り返る。 「どさーシミーの露店にいらさー!!そこの旅のお方。この場所を抜けると、砂漠に出るさー。そんな時には、この日除けマントを売りまさー!」  笑顔を絶やさず、ぽっちゃり体型。ちょび髭を生やした、シミー、という露店商人。 「三人分、馬一頭!合わせて、320ギルさー!さぁどうします?暑いですさー!」  黒薔薇は何も言わずに金を渡し、品物を受け取った。 「ありまさー!これからもシミーの露店を御贔屓さー!」  黒薔薇は、白薔薇とカーナに投げ渡し、赤薔薇に着せ、自分もマントを羽織った。 「旅人の皆様ー良い旅をさー!」  岩壁を抜ければ、突然、太陽の陽射しが強くなった。  砂漠が一面、地平線上にまで広がっていた。 「暑っ」  白薔薇は、顔をしかめた。
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