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岩壁を抜け出ようとした所で、日陰に誰か座っている。
小さな露店商だ。大きな荷物を置いて、数品を前に広げて、座っている。
一行が前を通ると、話掛けてきた。振り返る。
「どさーシミーの露店にいらさー!!そこの旅のお方。この場所を抜けると、砂漠に出るさー。そんな時には、この日除けマントを売りまさー!」
笑顔を絶やさず、ぽっちゃり体型。ちょび髭を生やした、シミー、という露店商人。
「三人分、馬一頭!合わせて、320ギルさー!さぁどうします?暑いですさー!」
黒薔薇は何も言わずに金を渡し、品物を受け取った。
「ありまさー!これからもシミーの露店を御贔屓さー!」
黒薔薇は、白薔薇とカーナに投げ渡し、赤薔薇に着せ、自分もマントを羽織った。
「旅人の皆様ー良い旅をさー!」
岩壁を抜ければ、突然、太陽の陽射しが強くなった。
砂漠が一面、地平線上にまで広がっていた。
「暑っ」
白薔薇は、顔をしかめた。
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