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「さ、此処から砂漠地帯に入るぞ…」
砂漠に踏み入れば、陽射しが益々、一行に降りかかる。陽射し避けのコートを身につけているにも関わらず、汗が流れ出てくる。
「うぅ暑い…」
白薔薇は手で扇ぐ。カーナの方が辛い筈なのに、いい気なもんだ。
「…フー…フー」
黒薔薇の辛い息遣いが聞こえてくる。止まっては、赤薔薇を背負い直す動作を何度も繰り返す。
「赤薔薇…乗せるよ?黒薔薇」
「いい」
即答だった。
さっきから辛い筈なのに彼は断り続けるのだ。
黒薔薇には話を聞いた。尚更、赤薔薇をカーナに乗せるべきだと彼女は思っていた。
しかし、彼の気持ちなど、白薔薇にはまだ分からなかった。
黒薔薇は、こうなったのも自分のせいだ、とその戒めに赤薔薇の辛さを自分にも与えていた。赤薔薇の辛さには到底届かないのは、分かっている。けれど、なにもしていないよりも何かしていないと悪くて仕方がないのだ。
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