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黒薔薇はそれに気付き、重い体をゆっくり持ち上げ、そこに近付いた。
「誰だ?」
剣を構えて、覗く。と、フーと安堵の溜め息が聞こえた。
「・・・さっきの子供か」
そこには、先程の半袖半ズボンの少年がなに食わぬ顔で居たのだ。
「なんだ、あんたらここに居たんだ」
彼は岩の下に入ってきた。黒薔薇は、剣をしまい、元の場所に戻る。
「さっきの…」
白薔薇の言葉が止まる。
名前が分からない。
「ん?名前か?俺には、名前なんてないぜ」
鼻をホジホジしながら、そう言った。二人は驚いた顔で彼を見た。
「……何だよ、その目……そりゃあ珍しいよなこんな事言うやつなんて」
フッ、と鼻くそを飛ばす。不機嫌な顔になった彼は、改めて二人を見ると、何かを悟ったのか口を開いた。
「そっか。あんたらも、痣持ちか」
何故か、溜め息を吐く。
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