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「…薔薇か?百合か?」
黒薔薇が真剣な顔で見るものだから、突然彼は、ブフッ、と鼻で笑った。
「俺は、薔薇だよ」
「良かったぁ~」
その瞬間、黒薔薇の後ろで白薔薇は一気に肩の力が抜け、胸を撫で下ろしていた。
「そうか薔薇か…仲間という訳か」
それにしても、彼に恐怖心は無かったのだろうか。彼が百合だった場合、まだどうにかなったものの、もし、自分達の立場が百合で、彼が薔薇だったとしたら、危険だったかもしれない。よく、躊躇なく言えたものだ。
ふと、彼の視線が赤薔薇に行った。
「・・・黒百合の毒か」
「!?」
白薔薇は驚いた顔でまた彼を見た。そんな事、黒薔薇から聞いていなかったからだ。
「・・・・そうだ」
一瞬、眉を寄せたように見えたが、黒薔薇は二人に、赤薔薇の首に巻いていた布を外して、見せた。
「―!?」
そこには、紐状に赤薔薇の首を黒い斑点模様が囲っていた。
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