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山賊達が一瞬、怯む。
「・・・相手してやる。かかってこい」
山賊達は改めてグッと剣を掴むと、一気に彼に飛び掛かってきた。
黒薔薇は身を翻しながら、剣を一回、二回と振り回すと、山賊達の身体中から血を流し、山賊達は苦痛を上げながら、その場に倒れていった。
「・・・フン。唯の軽傷だ」
黒薔薇は剣をしまい、気を失った山賊達を跨いで、山中を進んでいった。
藪を抜けると、川に辿り着いた。
血に汚れた顔と剣を洗い出す。ふと、剣を持つ右手に目が行く。
小刻みに、震えていた。
黒薔薇の眉にシワが寄る。しばらく見ていると、身体中が震え出す。
意思に関係なく、震える身体に虫酸が走る。
ふと、導かれるように向こう岸に目が行った。
「…ん?」
向こう岸に小さな男の子が立っている。こちらに気付いたようで、身を返して走り去っていった。
「…?」
黒薔薇は、何故に、という顔をさせ、首を傾げた。
震えが治まり、少し休憩をした黒薔薇は、また歩みを進めていった。暫く歩き続け、山を抜けると、草原が拡がる小道に出た。
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