-プロローグ-

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 少し彼の過去の話をしよう。 「お前は大事な家族だ。俺が護ってやるからな」  ある日の事だ。  黒薔薇(クロバラ)の父親は、馬車との衝突事故を起こし、亡くなった。 「貴方は大事な我が子。死んでは駄目よ」  それから数日経ったある日だ。  今度は、母親が足を滑らし、崖から転落死してしまった。  小さき黒薔薇は、独りになった。  独りになった彼をある場所へと引き取られ、育てられた。  が、ある場所への記憶は黒薔薇には、一つも無い。  自分の本当の名も知らずにすくすくと育っていた。  
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